s 第9回例会 1999.12.04
国語教育史学会

第9回例会(国語教育史研究会)

日 時 1999年12月4日(土) 2:00〜5:00 早稲田大学14号館805室
題 目 研 究

戦後における説明的文章の史的展開について
  内田 剛(早稲田実業学校講師)

資料紹介

文部省「単元学習の理解のために」 −1954(昭和29)年− 
  坂口 京子(荒川区立第四中学校)

参加者 牛山恵、内田剛、大平浩哉、大屋敷全、小原俊、喜多見眞弓、木下ひさし、黒川孝広、小林塑青、坂口京子、竹長吉正、田近洵一、前田健太郎、横堀利明、依藤美佐、吉武真理子、渡辺通子
戦後における説明的文章の史的展開について  内田 剛
発表内容 (発表資料より)
はじめに
 説明的文章について考察する場合、問題は「戦後の歴史において『説明的文章』がどのように位置付けられてきたか」という歴史的位置づけだけにとどまらない。いいかえれば、それは用語の規定、さらに文章ジャンル(文種)の世路って異の必要性から考えていかねばならない。すなわち、
(1)「説明的文章」という文章のジャンル設定の必然性について。
(2)「説明的文章」及び同じ概念を表そうとするその他の用語の規定について。
(3)戦後の国語科の中で、「説明的文章」が歴史的にどのように位置付けられてきたかについて。
を本発表の着目点とする。教材という媒体を通じた子どもと教師の共通理解においては、たとえは子どもの「経験」「認識」「思考」「表現」などについての考察も不可欠であるが、これについて措き、今回は我々教師側の捉え方について考察していきたいと考える。

これからの課題
 以上、戦後における「説明的文章」の歴史を早足でみてきたが、いまだ解決されない問題は多い。教育現場に照らし合わせて考えてみると、たとえば「説明文」を狭義の意味で捉えるのか、広義のの意味で捉えるのかの混乱などは多く存在しているように思われる。
 また、これからの説明的文章の方向性として挙げられるものに、「情報の読みとしての説明的文章」や説明的文章における「論理と言語の関係」の問題などがある。もちろん、これらは説明的文章が有する多くの課題の一つに過ぎないが、前者の具体的な方策の一つとして、たとえば新聞を授業に取り入れる「NIE(Newspaper In Education)」などが挙げられ、後者の具体的な方策の一つとしては、たえば井上尚美氏が提唱する一般意味論を授業に活用していく言語論理教育の実践などが挙げられる。
資料目次 はじめに
1.「文章のジャンル」の設定について
2.「説明的文章」の歴史的展開と用語の規定
2−1.戦前における「説明的文章」の研究について
2−2.昭和20年代における「説明的文章」
2−3.昭和30年代における「説明的文章」
2−4.昭和40年代における「説明的文章」
2−5.昭和50年代における「説明的文章」
2−6.昭和60年代から平成にかけての「説明的文章」
3.これからの課題
文部省「単元学習の理解のために」 −1954(昭和29)年−   坂口 京子
発表内容  文部省が発行した「単元学習の理解のために」は単元学習が下火になった時に、単元学習の誤解を解く単元学習を説明した書である。原案作成者には多くの国語教育者が名を連ね、単元学習の必要性や形、教科との関係について説明したものである。国語科で単元学習が下火になった原因をこの書から探ることができる。
資料目次 1 単元学習の啓蒙の意図
  ・新教育の妥当性
    民主的社会の建設と教育の科学的研究の結びつき
    従前の生活教育の復活
  ・学習の生活化をはかるための学習方式および学習形態としての単元学習
2 単元学習と経験単元
  ・教材単元と経験単元
  ・学習心理学をふまえた学習観の提唱
  ・四つの特徴 −活動性・生活性・課題性・統合性
  ・学習概念の拡張と学力概念の変化
3 国語科の単元学習
  ・技能教科としての位置付け
    国語の用具的性格・記号としての言語
    教材単元(知識・技能の体系的論理的価値の重視)としての可能性
    思想をまとめる働き、個人を社会化する人間形成の働き
  ・内容教科(社会・理科)の単元学習と国語科の系統的技能学習との関連
  ・国語科の単元学習
    内容教科の教科内容との融合
    問題解決の学習形態
    児童の生活経験を選び、生活の発展を考え、必要に迫られる学習の工夫

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